
急増する”点検商法”とは
「分電盤の無料点検を行っています」という一本の電話から、被害は始まります。
電力会社やその委託業者を名乗り、点検を口実に自宅を訪問。分電盤を確認した後、「このままでは漏電して火事になる」と不安をあおり、数十万円にのぼる交換工事をその場で契約させる——これが「点検商法」と呼ばれる手口です。
国民生活センターの報告によると、この分電盤点検商法に関する被害相談は2024年度に入って急増し、前年比で約25倍という異常な伸びを記録しています。中には高額な工事代金をその場で支払ってしまったケースもあり、決して他人事ではありません。
まず知っておきたい——本物の点検はこう行われる
点検商法に引っかからないための最大の武器は、「正規の電気点検がどのように行われるか」を知っておくことです。本物と偽物の違いは明確です。
定期点検は4年に1回
一般家庭の電気設備に対する定期点検(保安点検)は、法令に基づき原則として4年に1回の頻度で実施されます。担当するのは電力会社、または経済産業省に登録された調査機関に限られます。
事前に「書面」で通知される
正規の点検では、実施日時が事前に書面で案内されます。電話だけで日程を伝えて訪問するということはありません。書面が届いていないのに「点検に行きます」と連絡が来た時点で、疑ってかかるべきです。
高額な契約を迫ることは絶対にない
正規の点検は無料で行われ、その場で交換工事の契約を急がせるようなことはありません。「今すぐ交換しないと危険です」「今日なら安くできます」といった言葉が出た時点で、それは正規の点検ではありません。
点検商法の典型的な流れ

手口にはパターンがあります。流れを頭に入れておくだけで、「おかしい」と気づけるようになります。
① 電話で点検を持ちかける 「○○電力の委託で、分電盤の無料点検を行っています」などと電話をかけてきます。実在する電力会社の名前を使い、公的な連絡であるかのように装います。
② 訪問して分電盤を確認する 「すぐ終わります」「見るだけです」と軽い調子で家の中に入り込みます。この時点での目的は、点検そのものではなく、交換工事の話に持ち込むための足がかりです。
③ 不安をあおる 「焦げている」「漏電の危険がある」「このままでは火災になる」など、恐怖を感じさせる言葉で冷静な判断を奪います。
④ その場で契約を迫る 「今日中に対応しないと危険」「今なら割引できる」と即決を迫り、数十万円規模の工事契約を結ばせます。
不審な連絡を受けたときの対処法
電話の場合
- まず電話を切る。 相手の話に乗る必要はありません。
- 会社名・担当者名をメモしておき、自分で電力会社の公式窓口に問い合わせて事実を確認する。
- 判断に迷ったら、消費者ホットライン 「188(いやや!)」 に相談する。
訪問された場合
- インターホン越しに対応し、ドアを開けない。
- 「家族に相談します」と伝え、その場では絶対に契約しない。
- 相手が身分証を見せても、それだけで信用しない。名刺や身分証は偽造される可能性があります。
被害がなくても、情報提供を
不審な電話や訪問を受けた場合は、実際の被害がなくても警察や消費生活センターに情報を伝えておきましょう。一人ひとりの報告が、地域全体の被害防止につながります。
そして何より大切なのは、家族や身近な方との情報共有です。特に離れて暮らす高齢のご家族には、「こういう電話が来ても応じなくていい」と具体的に伝えておくことが、最も効果的な予防策になります。